ILM（インダストリアル・ライト＆マジック）創立50周年を迎えて

ディズニーワールドファン.jp

7か月前

5月28日（水）、映画業界を代表する視覚効果スタジオ「インダストリアル・ライト＆マジック（ILM）」が、記念すべき創立50周年を迎えました。
ILMは1975年、ジョージ・ルーカスが『スター・ウォーズ／新たなる希望』の制作のために設立した会社です。それ以来、革新的な映像技術を通じてストーリーテリングを支え、常に業界の最先端を走り続けています。

今回は、ILMのシニア・バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるジャネット・ルーイン氏に、50年の歩みや今後の展望について話を伺いました。

50年の軌跡を振り返って

「ジョージ・ルーカスがILMを設立したのは、当時の技術では『スター・ウォーズ』の世界を表現できなかったからです。彼のビジョンを実現するために、私たちは“ビジュアルエフェクツ”というまったく新しい分野を切り拓きました。ミニチュアやモーションコントロールといった技法から始まり、今日ではCG、バーチャルプロダクション、インタラクティブ体験など、多様な分野で革新を続けています。」

創業当時はカリフォルニア州バンナイズの倉庫に集まった25人の“反乱者たち”から始まったILMも、今では世界5カ国に3,500人以上のスタッフを擁し、50以上のプロジェクトが同時進行で進められています。

なぜILMは50年間、トップを走り続けてこられたのか？

「私たちが常に業界の第一線にいられるのは、想像力をかき立てる映像表現への飽くなき挑戦心、そして確実に高品質な成果を届ける実績があるからです。
ですが何より重要なのは“人”です。アーティスト、スーパーバイザー、テクニカルスタッフ、プロダクションチームなど、世界で最も創造的で献身的な人々が集まっていること。それが私たちの最大の強みです。」

ILMの社内は協力的で支え合う文化が根付き、多くのスタッフが20年以上在籍しています。人を大切にするカルチャーが、長年にわたる成功の要因の一つです。

2012年のディズニーによるルーカスフィルム買収以降の変化は？

「ウォルト・ディズニーとジョージ・ルーカスには、“革新的な技術で素晴らしい物語を伝える”という共通のビジョンがあります。たとえば、ディズニーが開発したマルチプレーンカメラのような発明と、現在ILMが展開しているバーチャルプロダクションツール『StageCraft』には、同じ精神が宿っています。」

ディズニーによる買収以降、ILMは『スター・ウォーズ』シリーズだけでなく、『アベンジャーズ』『ブラックパンサー』といったマーベル作品、『アバター』『エイリアン』シリーズ、さらには実写版『リロ＆スティッチ』『トロン：アーレス』など、幅広い作品に関わるようになりました。

ILMを象徴する映像技術とは？

「“これこそがILMを象徴する技術だ”と言い切れるものはありません。というのも、私たちはあらゆるジャンルで映像技術の進化をけん引してきたからです。」

その中でも特に大きな転機となったのは、1990年代に本格的に導入されたデジタル映像技術です。
『ジュラシック・パーク』の恐竜、『E.T.』の飛行シーン、『パイレーツ・オブ・カリビアン』のデイヴィ・ジョーンズなど、数々の名シーンを生み出してきました。
近年では『What If…?』のようなインタラクティブ体験や、ABBAのバーチャルコンサート『ABBA Voyage』といった全く新しいジャンルにも挑戦しています。

『スター・ウォーズ』との切っても切れない関係

「『スター・ウォーズ』がなければILMは存在しませんし、ILMがなければ『スター・ウォーズ』も生まれていなかったでしょう。
私たちは常に最先端技術を追求しつつ、初期の手法であるミニチュアやストップモーションにも敬意を払い、作品に取り入れています。」

これまでに400本以上の作品に携わってきたILMですが、その原点はいつでも“大胆な発想と変革”にあります。

これからの50年、ILMはどう進化していく？

「私たちは今後も成長を続け、常に変化しながら、新しい時代のストーリーテラーたちを支えていきます。
これから先、業界がどう変わっていくかは予測が難しいですが、私たちはその変化をリードしていく存在であり続けます。
革新、変革、協働――それこそが50年間、ILMを動かしてきたDNAであり、これからも変わることはありません。」

この50年間、ILMは映像技術に革命をもたらし、映画の歴史を大きく塗り替えてきました。
次の50年も、私たちを驚かせるようなイマジネーションの世界が待っていることでしょう。