「ハリケーン」とは、主に北大西洋地域(国際日付変更線〜グリニッジ子午線)で発生する最大風速64ノット(約119 km/h)以上の熱帯低気圧を指します。いずれも熱帯の海水温が高い海上で形成され、積乱雲が渦状にまとまることで発生します。日本の台風もこれに該当します(総領事館 令和4年4月資料より)。
ハリケーンのカテゴリ分け
米国では、最大風速に応じてハリケーンをカテゴリー1〜5に分類する「サファ・シンプソン・ハリケーン・スケール」が使用されています。それぞれの段階に応じた想定被害の情報も提供されています(表1参照)。
日本との違いとして、アメリカの基準では1分平均風速、日本では10分平均風速で測定され、同一条件であれば米国の数値の約0.88倍が日本の最大風速の目安です。


ハリケーン関連の注意報・警報一覧(米国・大西洋地域)
1. Tropical Storm Watch(トロピカルストーム注意報)
- 発令条件:39〜73マイル/時(約63〜118km/h)の最大風速を伴う熱帯低気圧が48時間以内に予想される場合
- 意味:強風や大雨による浸水・停電・交通混乱の可能性があるため、備えを開始する段階
- 行動の目安:避難場所の確認、物資の備蓄、船舶の避難など事前準備を行う
2. Tropical Storm Warning(トロピカルストーム警報)
- 発令条件:39〜73マイル/時の風速が36時間以内に予想される場合
- 意味:強風・高波・大雨による被害が差し迫っている
- 行動の目安:不要不急の外出を控え、屋内で待機。沿岸部では高潮にも注意
3. Hurricane Watch(ハリケーン注意報)
- 発令条件:74マイル/時(約119km/h)以上の風速を伴うハリケーンが48時間以内に接近する可能性がある場合
- 意味:重大な被害の恐れがあるため、避難準備を含めたあらゆる対策を急ぐ段階
- 行動の目安:避難命令に備える、家屋や窓の補強、必要な物資の確保
4. Hurricane Warning(ハリケーン警報)
- 発令条件:74マイル/時以上の風速が36時間以内に予想される場合
- 意味:暴風・高潮・洪水などによる甚大な被害が予想される
- 行動の目安:避難命令が出たら速やかに行動。屋外活動は中止し、屋内の安全な場所へ移動
5. Storm Surge Watch(ストームサージ注意報)
- 発令条件:高潮による沿岸部の浸水が48時間以内に発生する可能性がある場合
- 意味:低地や沿岸部では浸水や家屋損壊のリスクが高まる
- 行動の目安:沿岸部・河口付近の避難検討、車両の高所移動
6. Storm Surge Warning(ストームサージ警報)
- 発令条件:高潮による沿岸部の浸水が36時間以内に予想される場合
- 意味:命に関わる危険な浸水が差し迫っている
- 行動の目安:沿岸部から即時避難、避難所や高所へ移動
7. 特記事項
- Advisory(アドバイザリー):現状報告や進路予想などの定期発表(通常6時間ごと、危険時は3時間ごと)
- Special Advisory(特別アドバイザリー):進路や勢力が急変した際に臨時で発表
米国の気象機関である米国国立ハリケーンセンター(NHC)の情報を引用
ハリケーンの発生時期と進路傾向
- 発生シーズン:大西洋・カリブ海・メキシコ湾では、毎年6月1日〜11月30日がハリケーンシーズン。最も活発になるのは8月中旬〜10月下旬です。
- 発生地点と進路:熱帯低気圧は、カリブ海やメキシコ湾、西アフリカ沖(カーボベルデ近海)で発生し、西へ進んだ後、北西〜北東へ進路を変えて米国南部沿岸などに接近・上陸する例が多く見られます。
ハリケーンの備え
在マイアミ領事館は、以下の対策を推奨しています。(2025年6月26日掲載)miami.us.emb-japan.go.jp+4miami.us.emb-japan.go.jp+4miami.us.emb-japan.go.jp+4
1. 事前の準備
- 安全な避難場所やルートを確認しておく
- 連絡体制を整える(在留届や旅レジへの登録推奨)
- 飲料水、食料、ラジオ、電池、医薬品などの備蓄を準備
2. ハリケーン接近時の行動
- 米国ハリケーンセンター(NHC)やフロリダ州政府の公式情報を確認
- 水・食料・ガソリンを早めに確保し、物資の不足に備える
- 避難命令が出されたら速やかに避難行動を実行
- 渡航予定がある場合は中止または延期を検討
まとめ:安全に備え、迅速な対応を心がける
フロリダ州では6月〜11月にかけてハリケーンリスクが高まるため、日頃から早めの情報収集と対策が欠かせません。在マイアミ日本国総領事館が提供する公式情報を参考に、安全な行動を心掛けましょう。
